私の想い

ピアノレッスンについて思うこと

 

いまの時代は何事も「厳しさ」は敬遠され、「楽しい」ことが正しいとされているように思います。

ピアノレッスンの現場でもそのような状況は少なからず反映されていて、基礎的なことを粘り強く教えない、刹那的なただ「楽しいだけの」レッスンが世間の主流になりつつあるように感じます。

もちろん楽しいレッスンであっても基礎的なことをきちんと教えている先生もいらっしゃると思いますが、残念ながらそれは少数だと実感しています。

  

 

ピアノは現在でも習い事ランキングの上位に位置していますが、小さい時から始めた人でもそのうちの多くが数年程度の短い期間で辞めてしまいます。そして大人になって再開する人は一握り程度ではないでしょうか。

私はこのような状況はとてももったいないことだと思うと同時に、何とかしてこのような状況を改善したいと強く思っています。

 

言うまでもありませんが、ピアノは本当に奥深い楽器であることに加えて、作られた楽曲も膨大な数に及びます。趣味や教養として、生涯学習として取り組んでいくには大変やりがいのある素晴らしいものです。

やむを得ず、レッスンを辞めた後もまたピアノをやりたい!という気持ちを抱けるような、そして幼少期のレッスンでやったことを土台に、大きくなってピアノを再開した時にそれが生かされ、次のステップにすっと繋がっていくようなレッスンができたらどんなに素敵なことでしょう。

 

 

 

音楽を長く楽しむために「基礎」を大切にしたレッスン

 

私はそのためにはただ楽しいだけのレッスンではなく、「基礎」をしっかり身につけるレッスンが不可欠だと思っています。

具体的には姿勢や身体の使い方、タッチ、脱力などの奏法全般にわたる事柄から音の聴き方、正しい楽譜の読み方、解釈といった音楽的な事柄まで、各生徒の持っている能力を見定めた上でそれを鍛えて伸ばしていくということです。

 

基礎を身につけるためには多くの時間と継続的な努力、指導者の適切な助言などが求められますが、こういった基礎を身につけるレッスンの多くは専門的に音楽をやる人に限定されてしまっていることが大半だと思います。

しかし、それでは趣味としてピアノを続けたい子どもたちは将来、絶対に苦労します。

基礎がなければ一定のレベルより上の楽曲が弾けないからです。もちろんその曲だけをひたすら練習すれば弾けるようにはなるでしょうが、莫大な時間と労力がかかります。それだけでなく、音楽的なことについても基礎教育を受けていないと技術的には弾けるようになった曲であっても単なる音の羅列となってしまいます。

それを繰り返しても音楽的な感動はありませんし、必要以上に練習しなければ曲が仕上がらないため徐々にモチベーションも下がってくるでしょう。また、練習の中で無理が続くと手を痛めてしまうことも少なくありません。

 

練習してこない子ややる気のない子についてもその子の可能性を信じ、練習の習慣がつくように、そして音楽の面白さがわかるように指導者は根気強くサポートしていく責任があると思います。

 

 

 

本当に必要なことはいつの時代も変わらない

 

基礎ができていない状態を改善したいと私の教室に来られた方が何人もいます。

皆さんピアノが好きで、一生懸命な方ですがそれぞれ悩みを抱えていました。

 

私のレッスンは「対症療法」ではなく、「根本治療」です。

これはほんの一例ですが、前の教室ではどのようなレッスンだったかお聞きすると、「fが足りないからもっと出しましょう」、「pだから前の部分ともっと変化をつけて、、」などの指摘を受けたものの、そのためにどうしたらよいかアドバイスはなかったとのことでした。

根本的なタッチや弾き方がわかっていない状態で指摘通りにやろうとしても身体に無理な力がかかり、単なる大きい音(いわゆる強い音、きつい音)になってしまったり、ある程度の経験がある方だと自分の思うような響きにならずにモヤモヤしたりということがあります。

fの響きにならない原因や変化がつかない原因は必ずあります。指導者にはそれを見抜いた上で上手く弾けない部分についてもなぜ弾けないか、どのようにしたら弾けるかということを根本から具体的に伝えることが求められます。

 

しかし、それには指導者の見識や技術(※)が必要であり、生徒ひとり一人の弾き方の癖や楽譜の読み方などを治していかなければならないため教わる側も教える側も根気がいります。(※音楽的なことはもちろん、身体的なことにも精通し、奏法や音楽についての研究を続けた上で、多くの生徒への指導の中でそれらを生かしながらフィードバックしたものを蓄積して分析していく必要があります。)

 

それでも、地道にやっていく以外に方法はありませんので一緒に頑張っていると、半年、一年、二年、と時間が経過するごとに徐々に音や演奏が変わっていきます。私はそれが大変嬉しいですし、生徒も皆さんも満面の笑みで喜ばれます。と同時に、もっと早くにこういうレッスンが受けられていたら、、と残念がられるのです。

 

しかし、このようなレッスンは人によっては途中で心が折れそうになることもしばしばあります。そんなとき、私はなぜこのようなレッスンをしているのかをしっかり説明し、わかってもらうことを大切にしています。

いま辛くてもこれを乗り越えればその先が楽になる、そうすればもっと楽しくなると説明するとほとんどの生徒は「じゃあ頑張ろう!」とやる気を出します。現に壁を乗り越えた私の生徒たちはみんな「こういうことだったのか!」と笑顔で納得してくれています。そして酸いも甘いも噛み分けた上での「楽しさ」を感じているように思います。

 

 

現在は、上越市はもちろん、妙高市、柏崎市、県外から通ってくださっている方もおられます。

 

・ピアノを長く続けていきたい方

・基礎からしっかりやり直したい方

・本格的なレッスンを受けたい方

・身体に負担の少ない弾き方、心地よく美しい音を出せる弾き方を身につけたい方

 

など、少しでも皆様のお力になれれば幸いです。